
齋藤 侑希
Yuki Saito
2023年 新卒入社
工事部 土木施工管理
掘り起こされたのは、
僕のなかに潜んでいた
“熱さ”だった。
大きな声で引っ張るタイプでも、
派手にアピールするタイプでもない。
けれど、冷静に仕事に向き合う日々のなかで、
ふと胸の奥が動く瞬間がある。
相手の意図を読めたとき、
流れがカチっと噛み合ったとき、
自分の仕事の価値を実感したとき——。
普段は静かな自分のどこかに、
確かに熱があることに気づく。
その小さな変化を感じながら、
齋藤は今日も現場に立っている。

淡々と、冷静に。“あたり前を、
あたり前に”が、
原点。
冷めているわけではないけれど、小さいころから物事を淡々と、そつなくこなす性格でした。スイミング、学習塾、サッカーを二つのチームで掛け持ちして、夕方にはへとへとになって帰ってくる毎日。いま振り返ると、週に2日休める今の方がよほど余裕があるかもしれません(笑)。でも当時から、それが嫌ではなく、むしろ楽しかった。そんな僕の根っこをつくったのが、中学サッカー部の監督の「信用しているやつを試合に出す」という言葉です。遅刻をしない、忘れ物をしない、準備を怠らない…。そうした小さな積み重ねが評価につながるんだと知り、その頃から“あたり前のことを、あたり前にやる意識”が強く芽生えました。
興味が土木業界へ向いていったのは、高校3年のとき。コロナ禍で学校が休みになり、外構仕事をしていた祖父を手伝ったのがきっかけでした。家の雰囲気に合わせてチラシの種類を変えたり、天気を見て配る場所を調整したり、ちょっとした工夫がそのまま反応として返ってくるのが面白かった。反響があれば一件につき五千円もらえるのも励みで、祖父と「今日は当たりだったな」と笑い合った時間は、今も妙に心に残っています。そのとき感じた楽しさに背中を押されるようにして、地元の土木系専門学校へ進むことを決めました。
とだか建設を知ったのは、専門学校時代の実習です。現場に来ていた社長が誰よりも楽しそうで、「この人、面白そうだな」と感じたのを覚えています。すでに規模の大きい別会社から内定をもらっていましたが、そんな社長から「うちに来ないか」と声をかけてもらえたことが素直に嬉しかった。さらに、とだか建設は管理だけでなく現場作業にも携われる環境だった点も、自分にとっては大きな魅力でした。手を動かして技術を身につければ、いつまでも、どこへ行っても食べていける——。八十歳近くまで現役で働いていた祖父の姿も思い浮かべ、最終的にとだか建設への入社を決めました。


胸のなかに灯った、
ひとつのあかり
入社一年目は現場作業が中心で、筑波の住宅に電気を送る造成や、越谷での電線地中化工事に入りました。入社前はイメージ的に「怖い人が多いのかな」と思っていましたが、実際、中にはぶっきらぼうな職人さんもいました。でも、毎日顔を合わせているうちに距離が縮まり、気づけば仕事のコツや段取りを自然に教えてくれるようになりました。そして、厳しい言葉の裏にある責任感やプロの矜持に触れるうち、同じ動きに見える作業にも、実は一つひとつ理由があると分かってきたんです。その“理由”をつかみたくて、いつの間にか“現場を読む”ことを意識するようになっていました。
転機のひとつは、2年目に管理補佐を任された公共工事です。とあるショッピングセンターの周辺工事で、5〜6班が同時に動く現場。現場の写真を撮って、工程を調整して、次の班にまた走る。最初はただ必死で、目の前の仕事を追いかけるだけの日々。それでも現場に立ち続けるうちに、班が動く気配や作業の区切れ、押さえるべきタイミングが少しずつ読めるようになっていきました。「今だ!」と判断したタイミングが、ぴたりと合ったときの手応えは忘れられません。「これが現場を読む感覚なのか」と初めて思えた瞬間でした。もちろん、悔しい場面もたくさんありました。現場によって判断が変わるので、気づけるはずのことを見落としてしまい、帰り道に落ち込んだ日も数え切れません。だけどそのたびに、疑問があれば先輩や職長に声をかけ、臆せず質問する。そんな小さな勇気の積み重ねが、“現場を読む力”として、自分の中に着実に蓄積されていったのだと思います。
ある日、入社初期に携わった現場の前を偶然通りかかりました。家が建ち、電気が通り、人が生活している。自分の手が関わった場所に日常が生まれているのを見たとき、胸の奥にもぽっと明かりが灯るような感覚がありました。どちらかといえばあまり感情が動かないタイプの僕でも、「こんなふうに熱くなれるんだ」と気づかせてくれた忘れられない光景です。
“あたり前”の先にある、
“相手への想像力”を糧に。
いま担当しているのは、道路や宅地を掘って地下の状況を確かめる試掘工事です。責任者までとは言いませんが、主要メンバーとして現場に立つようになり、自分で判断して動く場面がぐっと増えました。段取りを組み、必要な準備を先回りして整える。最初のころはまさに“あたり前のことを、あたり前にやる”だけで精いっぱいでしたが、それだけでも現場は回るし、任せてもらえる仕事が増えていくのも感じていました。
ただ、それだけでは届かないものがあることにも気づきはじめました。相手がどう動きたいか、どこで迷うか、どんな声がけがあればもっと仕事がしやすくなるのか——。そういった“相手の気持ちへの想像”をほんの少し添えるだけで、現場全体の流れが驚くほど変わる。その実感が、自分の中の意識を変えていったんです。あたり前を丁寧に続ける自分らしさはそのままに、そこへもう一歩踏み込んだ視点を加えれば、もっと大きな信頼を生み出せるかもしれない。今まさに、そんな手応えを感じているところです。
僕は普段からワイワイ盛り上げるタイプではないし、“いかにも現場の人”という感じでもありません。そんな自分でも、現場の最前線で力になれるし、ぐっと胸が熱くなる瞬間に出会えるのが、この仕事の魅力だと思います。そして、その実感が、また一歩前へ進む原動力になっています。これからは、今まで積み上げてきたものを、ゆっくりと揺るがない力へ育てていきたいです。いつまでも、どこでも通用する人間になるために。僕らしく、だけど少しだけ殻を破りながら。





